小野不由美 魔性の子
十二国記の序章、公式ではエピソード0とされている
魔性の子。
読み終わった感想を一言でいうと
「もっと早くに読んでいればよかった」
十二国記は以前から知っていて、興味もあったのに読んでいなかったのは、大学時代に
小野先生の著作である「屍鬼」を読んで、怖すぎて一人暮らしの部屋に帰れなくなったトラウマがあったからです。
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怖いものが苦手な人は、一人暮らしでホラー読んじゃダメですね。
ホラー小説の傑作と言われているくらいなので、今後、最後まで読んでみたい作品ではあります。でも、こわい…
小野さん=ホラーのイメージがついており、10年近く読まず嫌いだったけど、新作がわりと切りよく終わったというのをネットで見て、読んでみることに。
遅筆な作家さんだと、続き物は完結になってから読むタイプです。
小野さんの夫の、綾辻行人さんの大ファンですが
まだまだ、館シリーズの新作はでないですね。。。涙
最終巻を執筆中みたいですが
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十角館の殺人は、記憶を消して読みたい作品、NO.1です。
あらすじ
広瀬は教育実習生として母校の高校に赴任した。
そこで受け持つことになったクラスに、なんとなく浮いている様子の生徒、高里と出会う。高里が浮いている理由は、高里に危害を加えた人間に死者やけが人が多いという噂のせいだった。
子供の頃に、1年間、神隠しにあった高里はそれ以来、この世界に居場所のなさを感じていた。
広瀬も、生死の境をさまよったときにみた世界を忘れられず、居場所のなさを感じており、互いに共鳴しあっていく。
教育実習が進んでいく中で、高里の周りにはさらに死者が増え、それに伴って町での幽霊の目撃情報が増えていって…
十二国記につながる序章。
感想
ネタバレ含みます。
高里に祟られる
非科学的でオカルトじみているけれど、皆の間に恐怖が感染するように広がっていく。
最初は、近所の噂話から、次はクラスメートへ、そこから学校全体に。
そして最後は、マスコミを通して実際に高里を知らない日本中の人々へ。
恐怖に感染した人々は、高里をあがめたり、傷つけたり…
コロナが最初、日本で確認された頃の、パニックの広がりかたを彷彿とさせるような、恐怖の描かれ方だった。
出版された1991年は、まだSNSや携帯電話もない時代だけど、当時から情報や噂話で恐怖やパニックは伝播していくものだったんだなと思った。
最後に、広瀬が「お前だけ帰るのか」
といったところに、人間の狡さというか汚さが集約されている。
この一言で、物語のすべての決着がついてしまっている気がする。
この世界に居心地の悪さを感じていた高里と広瀬。
似た者同士だと感じていた二人だけれど、まったく違った。
高里は、この世界のものではなかった。高里が感じていた居心地の悪さは真実だった。
広瀬は、ただ世界になじめない、夢にとらわれた人だった。
最後に、人間の醜さを出してしまった広瀬だけれど、あそこで出せたことで、きちんと現実世界に戻ってこられたんじゃないかと思う。
最後は自分の足で、波から逃れるために、山に駆け出している描写を私はそうとらえた。
広瀬は、現実世界で、教師になって、自分と同じような、居心地の悪さを感じている生徒を、救ってあげていてほしい。←私の願望